前回看護助手の仕事を得るまでのことを書きましたので、本日は仕事の内容や、日本の病院や施設との違いを。
イギリスの病院の分類
- NHS
- それ以外の私立病院
まずNHSとは日本でいうところの公立の病院です。
日本と違うのは誰でも(外国人でも)無料で受診が可能です。しかし、クリニックなどで受診しようとすると、長ければ1か月近く予約が埋まっていて、風邪で受診しようものなら、受診するころにはすっかり治っているような状態です。だから風邪で病院に行くという感覚は、イギリス人(オーストラリアも)にはありません。ゆっくり休むのが薬と考えています。
対する私立の病院は、完全実費。10割負担です。その代わり、入院はホテルに泊まっているような感覚でルームサービスがあったり、外来も、NHSと比較すれば、すぐに診てもらえます。
イギリスで保険に入っていればカバーされるようですが、負担額などにはいろいろ分類があるかと思われます。
私がロンドンで看護助手をしていたときに担当したカタール人の患者さんは、全て後者の私立病院に入院されていました。
ワンオンワンケア看護助手の仕事
派遣会社から、○○病院に入院中の、○○さんのところに何時から何時まで(だいたい8時から20時のシフトで、病棟看護師も同じ勤務帯でした。夜勤は20時から8時です。)といった形で派遣されますので、時間の少し前に病院へ行き、担当患者さんのワード(病棟)へ向かい、そこで病棟の看護師や医師に軽い自己紹介をして、担当患者さんのお部屋へ向かいます。
24時間看護助手がついているので、すでに働いている看護助手から申し送りをうけて、その日一日の看護を始めます。
このように24時間一人の患者さんに、一人の看護助手や看護師がつくことを、ワンオンワンケアといいます。
担当する患者さんは、毎日変わることもありますし、気に入られると、毎日同じ患者さんを担当することもあります。
担当する患者さんが帰国したり、病状悪化などにより担当が変わることもあり、突然仕事がなくなることもあり、あまり安定した仕事ではありませんでした。
カタール人の患者さんは、全員が家族と一緒に来られていました。
患者さんであるおじいさんおばあさんは、英語が話せないことが多かったですが、同じ年くらいの孫や息子たちはだいたい話せるので、患者さん家族からもある程度情報提供をうけて、一日何をするかを考えます。
好きな食べ物や好きなことを色々聞いて、リハビリや検査に付き合ったり、足浴や全身清拭を行っていきました。
特にリハビリや検査では、担当する人が、アラビア語を話せないことが多いので、アラビア語と英語の通訳もしていました。(口を開けて、手を握ってなど簡単な単語や数字など、必要なアラビア語を勉強しました)
一日の最後にはそこの病院の書式に合わせて、カルテに看護記録を記入します。
もともと中学生のときも高校生の時も、あまりまじめに英語を勉強してこなかった私は、とにかくライティングが苦手!
そのため医療用語が飛び交うカルテの記入は本気で地獄でした笑
どう書いていいかわからなくて、看護師に助けを求めたりもしましたが、快く教えてくれる優しい看護師もいれば、そんなこともわからないで、看護助手なんかよくやってるよね。と、馬鹿にしてくる看護師もいました。
泣きながら、派遣会社に、やってらんねーーー!!!と電話したこともあります笑
しかし、私は、とても気難しいご家族が付き添う、末期脳腫瘍の患者さんを担当していて、そこのご家族は、私以外の看護助手はすべて拒否してしまい、誰も担当することができなかったため、結局私を派遣する派遣会社が、病院側へ看護師が私にする対応にクレームを入れたことで、その後、そのいじわるな看護師から、とっても手厚く教えてもらえるようになるといった、逆転勝ち(?)事件もありました。
看護師の立場から見た日本の病院との違い
結局NHSで働くことはなかったので、私立病院のことしかわかりませんが、この当時感じた、日本の病院との大きな違いについて。
海外の医療ドラマでも見るような、患者と医療者がとても対等でした。
医師と看護師や看護助手も対等で、みんなとてもやさしくてフランクだったように思います。
あと、衝撃を受けたのは、看護師や看護助手の労働環境を、とても重視してくれます。
日本では、体位交換やおむつ交換、起立介助など、重労働も夜勤帯など人の少ない時間帯では、看護師看護助手が一人で介助することも多々あります。
しかし、イギリスでは特に起立介助や車いす移乗などの力仕事は、ホイストという、クレーンのような機械を使用します。
病院によっては天井に機械がくっついていて、ボタンで患者さんの体を上下させることができます。
これ、日本でもあるところにはあると思いますが、なかなかまだまだ広まっていないのが現実ではないでしょうか。
これはとっても画期的で、腰痛持ちの私は感動しきりでした。
規則として必ず二人でないと、体位変換や移乗動作ができないので、労働者の体をとても良く考えた規則だなと、感心したものです。
(その当時写真を撮ってこなかったので、無料画像で写真を張り付けたかったのですが、なかったので、ホイストを制作している会社に写真を使用していいか、許可を取っていますので、許可が出次第、わかりやすい写真をはりつけます)
お給料は日本とあまり変わりはないかと思いますが、とにかくお休みが多い印象でした。
アニュアルリーブといって、年に1回、日本でいうところのリフレッシュ休暇があり、少なくとも1か月くらいはお休みできます。
特に外国人は国に帰るために長めの休暇をもらえるようでした。つまり、時間単価はイギリスの方が高かったですね。
1か月休んでも、お給料は入るわけですから。
日本のリフレッシュ休暇なんて10日取れればいい方ですよね。
ヨーロッパ旅行がギリギリといったところでしょうか。
あーー!!うらやましすぎる!!日本人はほんと、働きすぎ!
カルテはPCではなく手書きでした。10年前の話なので、今はだいぶ変わっているかもしれませんが、10年前、私が日本の普通の病院で働いていたころでも、日本はPCのところがほとんどだったので、遅れている印象を受けました。
私立の病院だからだとは思いますが、ひとつも大部屋がありませんでした。
2人部屋さえなかったかと思います。
私たち看護助手は、お薬の介助はできませんでしたが、血糖チェックなどの簡単な医療行為は行っていました。
日本では有資格者か本人か家族しかできないので、その辺は臨機応変なのかなと思います。
そのほか細かい違いは多々ありましたが、また今度。
冒頭の写真はチーズなんですが、おどろおどろしい色の割に、味は普通でした。さすがイギリス!
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